グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)

グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)の画像

1/144 マツオカステン製 レジンキット グリレ17

グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)

【 製作者からのコメント 】

< グリレ17について >

 ドイツ軍は、自走榴弾砲にやたらと強い拘りを持ち続けました。
 それは
 1. 旋回式砲塔による全周射撃が可能
 2. 砲を積み下ろし可能とする
という2つの能力です。

 砲兵にとって砲の射界を超える目標を射撃する際には、砲自体を動かす必要があり、その際には試射や標定の取り直しが必要となり、結構大変で時間が必要となる作業となってしまいます。
 だから、全周射撃能力は確かに大事です。イギリス軍の「25ポンド砲」は、ターンテーブル式で全周射撃能力を持たせていますね。

 砲の積み下ろしについては、自走榴弾砲が一旦陣地に布陣すると、必要になるのは砲の部分のみで、車体は必要としないため、自走砲の車体を砲の運搬キャリアーとするものです。
 このような形態とすると、自走榴弾砲が陣地に進出して砲を降ろし、その後の車体は弾薬運搬に使用したり、新たな砲の車体にも使ったりと、極めて効率的な話です。
 しかし…、このようなドイツ的とも言える機能の追求は、ロクな結果を生まず、この仕様に基づいて開発された「ホルニッセ」などの自走榴弾砲は、コストが高いとか、機能が複雑過ぎるなどと、兵器としては使いものになりませんでした。
 それを尻目に、「暫定的な」自走榴弾砲として上記の能力を省いた形で登場した「ヴェスペ」「フンメル」が戦線に投入されて活躍。普通ならばこれに懲りて「ヴェスペ」や「フンメル」を増産するとか、後継車両としては同じような形態の自走榴弾砲を開発するという方針を採りそうなものです。
 ところが、ドイツ人は上記の2つの要件を満たした「理想の自走榴弾砲」を追い続け、大戦末期には砲の運搬車のような形態となる自走榴弾砲「ヴァッフェントレーガー」を数種作ってしまいます。これもほとんど役に立たなかったんですけどね…。

 150mm砲を搭載した重自走榴弾砲「フンメル」よりも大型の砲を積む自走砲として大戦末期に開発されたのがこの「グリレ17」です。
 ただ、「グリレ17」は一見すると「フンメル」と同じような車両のように見えてしまいますが、この車両も上の2つの要件が適用されています。
 巨大な「170mmカノン砲 K72」を搭載するために、さすがに全周射撃能力は諦められましたが、砲の積み下ろし機能はちゃっかりと付いています。車体後部のフレームがその装置の一つで、砲を引き出して地面に降ろす機能を持っています。
 このため、搭載する砲は「170mmカノン砲 K720」に限らず、「210mm臼砲 Mrs18/1」「305mm迫撃砲 GrW Sf 1-606/9」を搭載することができました。

 「グリレ17」は、試作車1両が完成した状態で終戦を迎え、結局実戦に投入されることはありませんでした。
 「キングタイガー」の足周りを流用した巨体は、とても迫力があって魅力的なのですが、もう少し早く完成していたとしても果たして量産化されていたのか?と、少々疑問を覚える車両です。

グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)の画像

エンジン部も再現していますのでハッチを開けた状態にしています

< グリレ17の製作について >

 さて、キットの製作に移ります。
 このキットは現在のパーツ数を抑えたマツオカステンのキットとは異なり、1/144スケールながら1/35スケール並みの再現度を目指したかのような内容で、パーツ数は80点程度となり、かなりボリュームがあるキットです。
 このため、製作にあたっては1/144スケールのレジン製キットを作るという感覚ではなく、1/35スケールのフルレジンキットを作るような技量と根性が必要となります。もちろん、実車の資料は必須です。

170mmカノン砲
 まず、砲の組み立てですが、マズルブレーキの穴は、成型の関係で部分的に穴が塞がっている箇所がありますので、0.3mm径のドリルで全ての穴を開口しています。
 砲身は、レジンの収縮により若干曲がっていましたから、ドライヤーで温めながら修正。
 砲架部分は、各パネルを貼り合わせる箱組み方式で、歪みが発生しないように注意して貼り合わせました。
 砲身と砲架とは若干の隙間が発生しますので、目立たないようにプラ板を噛ませて接着しています。

グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)の画像

戦闘室内部の細部パーツをどのようにはめ込んでいくのかがポイントとなります

車体
 車体は、戦闘室部分が箱組みとなっており、戦闘室前面パネルと後部の支柱を参考として側面パネルの位置を確定しながら組み立てました。この際、後部の支柱を取り付けてしまうと砲が入らなくなりますので、仮止めして製作しています。
 足周りは、転輪と履帯とが一体成型で、その形状から歪みが発生していますので、ドライヤーで温めて全体の歪みの修正と、履帯のラインとを整えました。足周りと車体との接着は、ダボや表示がありませんので、資料を参考に位置決めしています
 さて、問題は後部のフレームです、このフレームは両側面部が一体成型されたパーツに横方向のパーツを組み合わせる構成ですが、今一つ各パーツとフレーム自体の車体との取り付けが分かりません。この部分は資料も明確ではなく、1/35スケールのトランペッターのキットの作例を参考に作製しました。

塗装
 塗装は、各色の面積が同等程度となる3色迷彩としました。
 ちなみに、大戦末期のドイツ軍車両はダークグリーン、もしくはレッドプライマーがベースとなっているという説が有力ですが、実車写真で見る限り、自走砲はダークイエローベースが多いようです。
 基本塗装はタミヤカラーのアクリル塗料で行い、エアブラシで各色を数回吹き、1/144スケールに沿ってボケ幅を小さくしています。エアブラシで部分的に褪色表現を付け、小さな平筆でチッピングを行いました。その後、エナメル塗料でウォッシングを実施、足周りを中心にウェザリングを施して仕上げています。

グリレ17 ~ ドイツ軍が拘った自走砲の要件 ~ (安田征策)の画像

スケール感を出すため色合いは淡く色調を上げて塗装


【 製作概要 】


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